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耳が遠い高齢者への対応 [ひとこと養生記]

耳が遠い高齢者にどう接するか-加齢性難聴への対応

「耳が遠い高齢者」の多くは加齢性難聴(老人性難聴)。

その聴こえにくさの特徴と、周囲の正しい対応の仕方について、木村琢磨・北里大学医学部准教授が以下のように解説している。


「加齢性難聴」とは、「耳が遠い高齢者」の多くは加齢性難聴(老人性難聴)で、程度の差こそあれ年を重ねるにつれて多くの高齢者に生ずるといえます。

その"聞こえにくさ"の特徴には、

① 高い音が聞こえにくい(特に「さ行」「は行」「か行」などの子音)

② 音は聞こえても内容が聞き取りにくい(語音明瞭度の低下)

③ 会話以外の音があると音が響いて聞き取りにくい(補充現象)などがあります。

具体的な徴候として「何回も聞き返す」「聞き間違い」「見当違いの返答」などが生じます。

本人は自覚していないことも多いため、やみくもに「耳が遠い」と指摘すれば本人が認めないばかりか、関係性が悪化することがあり、注意が必要です。

そのため医師には、耳が遠い高齢者へ適切に接することはもちろん、家族へ対応法を助言できることが求められています。

加齢性難聴が高齢者に及ぼす影響

耳が遠い高齢者の中には、会話の内容が聞こえていないにもかかわらず「相槌をうつ」など"聞こえる振り"をしている方がいます。

それは「聞き返すことが恥ずかしい」「聞き返すと相手を煩わせたり嫌がられたりするのではないか」といった思惑がはたらくためでしょう。

会話の内容が十分に聞こえない生活が続けば、コミュニケーションに支障が生じてなんらかのトラブルが生ずることも懸念されます。

相手の声が聞こえないためしゃべり続けて"空気を読めない"状態となり、悪影響を及ぼすこともありうるでしょう。

"引っ込み思案"となることもあります。

耳が遠い高齢者が"的外れな"ことを言ったり、難聴に伴う小さなトラブルが日常生活で積み重なった結果、本人がしゃべらなくなったり、周囲が必要以上には話しかけなくなったりするかもしれません。

そのような際には、耳が遠い高齢者に疎外感・孤独感、ある種のイライラが生じたり、「被害的」「閉じこもり気味」になり、認知症の進行につながる可能性も秘めています。

なお、耳が遠い高齢者は、見当違いの言動が多くなるため認知症と間違えやすいので、長谷川式などの認知症スケールの判定の際には難聴を考慮します。

五つの配慮で意思が伝わりやすくなる

耳が遠い高齢者とのコミュニケーションは、その対応次第で改善します。

第一に、難聴の方に話す準備として、雑音を少なくするための「静かな環境」、口の形や表情が見やすいように「暗過ぎない環境」「マスクをしない」などに配慮します。

そして、話始める際には、声かけや合図をします。

ふいに話しかけられるよりも、聞こうと準備するため聞こえやすいと考えられます。

そもそも急に背後から話しかけると、高齢者は足音などから気配を感じにくいため、びっくりしてしまう可能性もあり避けるべきでしょう。

第二に、難聴の程度を確認し、声の大きさ、声のトーン、話すペース、話しかける距離に留意します。

「大して難聴がない高齢者へ、耳元で大きな声で叫ぶこと」は慎むべきです。

かくいう筆者も"耳"が痛いところです。

話す距離が近過ぎたり、声が大き過ぎたりすると母音が強調され、かえって聞きにくいとされています。

加齢性難聴は高い音が聞きにくいため、低いトーンの声が理想です。

具体的な話し方として、耳元ではなく数十cm程度離れた距離から、まず普通の声の大きさで、ややゆっくりめのペースで、ハキハキと話します。

そして、耳が遠い高齢者の反応、「聞こえているか」「理解しているか」を確認しつつ、徐々に声を大きくしていきます。

なお、耳垢除去で聴力の大幅な改善が望める高齢者がいることを認識しておきます。

第三に、話始める際に「[新月]?[新月]?のお話ですが・・・」などとトピックを明示します。

たとえ難聴があっても、なんの話題か理解していれば、幾らか聞こえにくい箇所があっても"勘"が働きやすくなり、理解度が増すと考えられます。

もしも話題が次々に変われば理解しにくくなるので、話題はなるべく絞り込みます。

第四に、話すスピードはゆっくりとしたペースとし、間を置いて区切りながら話すようにします。

そして、話す内容は、なるべく簡潔な文にし、適宜、文節ごとに短く区切って話します。

丁寧な言い方よりも、普通の言い回しの方が分かりやすいと考えられます(たとえば、「ご飯召し上がりましたか?」よりも「ご飯食べました?」)。

そして、理解しているか否か問いかけたり、「今、[新月]?[新月]?のお話をしていますよ」などとトピックを確認しながら話し、相手が聞き返すタイミングも図ることが理想でしょう。

もしも聞こえにくい場合には、より聞きやすそうな他の言葉に変えて話を続けます。

第五に、非言語的な側面を重視します。

一般的にいわれている「患者の方を向き正面から話す」「相手の目を時々見ながら話す」「なるべく目線の高さを合わせる」の他、視力が保たれている方には、身振りや筆談も併用します。

筆談は、紙に書くことも有用ですが、最近では電子カルテの画面に大きなフォントで書くことも有用でしょう。

もちろん、耳が遠い高齢者本人や介護者が不便を感じている場合は補聴器の適応も念頭に置きます。

介護者のみが不便に感じていて、本人が難聴で生活に不便を感じていなければ、高価な補聴器を購入しても使用は困難な可能性があり、補聴器の導入はあくまで本人の意志を重視すべきでしょう。

第五に、非言語的な側面を重視します。

一般的にいわれている「患者の方を向き正面から話す」「相手の目を時々見ながら話す」「なるべく目線の高さを合わせる」の他、視力が保たれている方には、身振りや筆談も併用します。

参考文献: 佐野 智子ら、難聴高齢者とのコミュニケーション-ICF モテ?ルの視点から.城西国際大学紀要2015;23(3)

木村琢磨・北里大学医学部准教授(総合診療医学・地域総合医療学 北里大学東病院 在宅・緩和支援センター長)。
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