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通じぬ悩み [健康短信]

 ●通じぬ悩みは老少不定

 便秘と不眠は、高齢者の二大愁訴といわれています。

 しかし若い人にもけっこう多い─いやむしろ若い人ほど多いようです。

 厚生労働省の国民健康・栄養調査によれば、便秘に悩む人は660万人、そのことを隠している人や自覚のない人を含めると、1000万人を超えるのでは推測されています。

 10代後半から30代前半の女性に最も多く、40~50%を占めています。 

 若い女性の2人に1人が、いつもあの妙にうっとうしい不快感に悩まされているとは、なんともお気の毒……。

 ですが、厚労省調査では、便秘に悩む女性のうち病院で治療を受けている人は約3割、4割は市販薬を飲み、3割弱は治療を受けていません。

 受診しない理由は、①恥ずかしい。②たかが便秘。③便秘薬なら薬局で入手できるなど。

「便秘がつらいと言って病院に来る人はごく少ないのですが、ほかの病気で便秘を訴える人はとても多い。

 睡眠、食欲、便通、そして女性の患者さんには生理、この四つは問診のさい必ず聞くわけですが、便秘をしていると答える人はたくさんいます」

 と、消化器内科の専門医は話しています。

 以下、便秘について総合的にかんがえてみましょう。

 ●便秘の定義はありません

 日曜日の昼下がり、退屈しのぎに手にとった文庫本のぱらっと開いたページにこんな一節を見つけました。

「産婦人科学の教授が、その講義のはじめに言った。

『諸君、女とは、一日に一度ミクチュレート(放尿)し、一週に一度デフィケート(排便)し、一月に一度メンスツルエート(通経)し、一年に一度パーテュレート(出産)し、そうして機会あるときはいつでもコピュレート(交尾)する動物である』

 ぼくは均整のとれた、しゃれた文章だと思う。」(サマセット・モーム『作家の手帳』中村佐喜子訳=新潮文庫)。

 大いにためらいながら引き写したのですが、モームが手帳にこの文言を記したのは1894年、ロンドンの医学校の3年生でした。

 女性のみなさま、時代の古さと作家の若さに免じて、大々的セクハラをお許しください。

 さて、本論。

 冗談半分とはいえ、「1日に1度の放尿」はいくらなんでもあまりにも少なすぎます。

 いったいに女性はそれを我慢しがちで、そのため膀胱炎などの尿路感染症を起こしやすく、で、そうした病気はチャスティティ・ディジーズ(慎み深いための病気)とも呼ばれます。

 起きているときは2~3時間に1回、膀胱をカラッポにするのが、健康上のだいじな心がけです。

「1週に1度の排便」というのも、どうかと思いますが、便秘には「何日間排便がなければ便秘である」といった明確な定義はありません。

 一般的には、排便が週に1回程度だったり、薬がないと排便できなかったりするような状態だと「便秘」と考えられています。

 毎日排便しないといけないと思っている人もいるようですが、3日に1度でもそのあとスッキリするのであれば問題なし。

 毎日出ていても、スッキリしないとか、ガスがたまっておなかが張るなど、不快症状があるようだと、ちと問題ありです。

 快食・快眠・快便は、健康の最もわかりやすいバロメーター。

 おいしく食べて、よく眠って、スッキリ出ると、今日も元気だ! と実感できます。

 反対に、食欲がなく、夜は眠れず、全然出ない─となると、日々の生きるよろこびは、はなはだしく損なわれます。

 便秘は、単にあの妙にうっとうしい不快感だけではなく、肌荒れもひどくなるし、腹痛を起こし、頭痛の原因にもなります。

 ストレスによって便秘が起こることもあります。

 ときには大腸がんなど重大な病気が隠れていることもあます。

「たかが便秘」と軽視してはいけないのです。

 ●高齢者の便秘、便秘促進食のせい!?

 かつて金沢医大老年病学教室が調べた「年代別排便回数の比較(週)」を見ると、

 幼児 7回以上=60%、4~6回=35%、0~3回=5%。

 成人 7回以上=70%、4~6回=25%、0~3回=5%。

 70歳以上 7回以上=15%、4~6回=35%、0~3回=50%。
 
 高齢者の半数は1週3回以下だったのです。

 年をとると、なぜ便通が激減するのでしょか?

 同教室の関本博教授(当時)が挙げた理由は、

 ①硬い物を食べなくなり、食物繊維の摂取が減る。

 ②腸内の食物を下へ送り便を出す「ぜん動運動」を行う腸管の平滑筋の数が中年以降へり始めて、70歳ぐらいでは、若いころの6割程度になる。

 ③腸内細菌のビフィズス菌とか乳酸菌のような善玉菌が少なくなり、腸の動きを悪くするウェルシュ菌などが増える。

 ④便が腸の中に長く滞留するため、水分が吸収されて硬くなる。

 要するに、便の材料になりにくい軟らかい物を好んで食べところへもってきて、胃腸の働きが悪くなり、腸内には悪玉菌が増え、便が硬くなる。

 悪条件がいくつも重なるというわけです。

 お年寄りが、うどんとかそばのような軟らかい物を好み、あまり硬い物は食べたがらないのは、歯が弱いということもあるが、年をとると、すぐエネルギーになる糖質を欲するように体が変わってくるのだろうと、専門家は言っています。

 でんぷんや砂糖のような糖質は、食べると体の中ですぐブドウ糖に変わってエネルギーになります。

 しかし、脂肪がブドウ糖に変わるには、複雑な過程を経なければなりません。

 たんぱく質も、脂肪ほどではないが、アミノ酸からアミノ基とかカルボキシル末端というようなものをはずして、燃料として燃えやすくするには、ちょっと時間がかかります。

 要するに脂肪やたんぱく質をエネルギーに変えるには手間ひまがかかり、お年寄りには体質的に合わなくなってくるのです。

 で、体の燃料としていちばん使いやすい糖質─うどんのような軟らかくて繊維質の少ない、便をつくる材料の少ない物─への好みが強くなる。

 つまり体の欲求として、便秘を促進するような食事になっているのです。

 便秘を解消するには、まず食事内容を変える必要があるようです。

 ●便秘の種類と便秘解消法

 便秘は、腸管に病変がある「器質性便秘」と、病変のない「機能性便秘」に大別されます。

 普通にいう便秘は機能性便秘のことで、便が大腸に長くとどまり、水分が吸収されて硬くなった状態です。

 器質性便秘の原因でいちばん気をつけなければいけないのは、大腸がんです。

 イヤな感じの便秘が何日も続くようなときは、便潜血検査、内視鏡検査、尿や血液の一般検査などきちんと診てもらいましょう。

 機能性便秘には、腸の動きが悪い「弛緩(しかん)性便秘」と、腸が動き過ぎる「痙攣(けいれん)性便秘」があります。

 弛緩性便秘は、①便意が少ない、②腹部に軽い不快感があるが、痛みはない、③便が硬くて、太い、④市販の下剤を飲むと具合がよくなる、⑤食物繊維の多い食事を取れば通じがよくなる─といった症状がみられます。

 一方、痙攣性便秘は、①しばしば腹痛や不快感が生じ、②排便するとその症状がなくなる、③便が硬くコロコロしている、④残便感がある、⑤腹が張るのに通じがない、⑥ストレスがたまっている─といったふうです。

 便秘を解消する効果的な方法を三つ、専門家に挙げてもらいました。

 1 朝食前に冷たい水を飲む。

 レントゲンで胃の透視をしているとき、氷のうを腹に当てると、ピピッと胃が動きます。

 同じように冷たい水を飲んでも胃腸が動いて、排便を促します。

「年寄りの冷や水」というのは、水の中に入ったりするのがよくないので、飲む分にはいいはず。

 便の軟らかさを保つためにも、水分は十分、補給すべきです。

 2 運動して体をよく動かす。

 運動は"ウン動"、運動しないと腸も動きません。

 お年寄りの便秘の一因は運動不足。

 これを解消するには歩くのが一番。ゴルフやテニス、ラジオ体操など、体をひねる運動―もおすすめです。

 腹筋運動も効果的。

 やり方はこうです。

 仰向けに寝て、上体を心持ち起こしてヘソを見る。

 数秒こらえて元に戻し、繰り返す。この動作を朝晩、寝床の中で─。

 そのあと、腹の上に「の」の字を書くように手のひらでマッサージするのも、即効性ありです。

 3 食物繊維を多くとる。

 食物繊維や水分をバランスよくとると、便のかさがふえたり、軟らかくなったりして、出やすくなります。

 絶対的推奨品は、おから。これを天然塩で味つけし、ニンジン、ゴボウと煮込みます。

 便秘に効くだけでなく健康食としても最上の一品です。

 ●便秘と塩と下剤の関係

 便秘薬を正しく使うには、自分の便秘はどのタイプか正しく知る必要があります。

 先年、便秘や胃炎の治療に使われている医療用医薬品「酸化マグネシウム」をのんだ高齢者らが、意識を失うなどの高マグネシウム血症を起こし、2人が死亡するということがありました。

 マグネシウムは、腸の中に水分を引き寄せて、腸の運動や排便を助ける効果があります。

 で、マグネシウムの化合物(酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム)が便秘症の治療に用いられます。 

 各製薬会社による推計使用者は年間延べ約4500万人。

 症状の性質上、長期服用になりがちで、意識障害、不整脈、呼吸抑制、血圧低下などが起きる可能性があります。

 長期服用者に対しては、血液中のマグネシウム濃度の測定など十分な観察を─と厚労省は指示しました。

 そこでお勧めしたいのが、マグネシウムだけでなくカリウム、カルシウム、鉄、銅、亜鉛など微量元素をバランスよく含む海洋ミネラル製剤「MCM」です。詳しくはネットで──。 

 ところで、昔の天然塩の中にはマグネシウムがたくさん入っていました(だからすぐしっけてべとついた)。

 それが糞便中の水分を保持して便を軟らかくしました。

 便秘に悩む人は天然塩を用い、食物繊維の豊富な物を食べるとよいのです。

 イチ押しは、さっきいった、おから。天然塩で味つけしたおから料理を!

 しかし、糞闘努力の甲斐もなく、ウンに見放される日が続くと、下剤に頼りたくなります。

 ところが、その下剤の乱用が便秘をいっそう悪化させてしまいます。

 下剤は「出なくて苦しい」状態を一時的に改善するもので、便秘そのものを治す薬ではありません。

 どうにも苦しいときに薬を使うのはかまわないのですが、下剤を使うことに慣れると、便意を感じて、トイレに行き、排便するという腸のリズムが失われます。

 下剤はあくまでも急場の対処法、一時的使用を原則とすべき薬です。

 市販の下剤のうち最も種類が多いアロエやセンナ、大黄が成分として配合されている「アントラキノン系下剤(刺激性便秘薬)」は、大腸を刺激することによって便意を生じさせます。

 この「刺激性便秘薬」長期使用で効きがわるくなったり、大腸の自発的な動きが弱ったりする欠点があります。

 大腸の粘膜が黒ずむ大腸メラノーシス(大腸黒皮症)も発生しやすくなります。

 アロエ、センナ、大黄は、自然の成分の生薬なので安心感がありますが、長期連用は控えたほうがよいのです。

 が、便秘に詳しくない先生にかかると、下剤の大半を占めるアントラキノン系下剤を処方されることが多いようです。

 便秘の名医としてしられる、松生恒夫・松生クリニック院長は、漢方薬を下剤として選ぶさいは、大黄などの含有量はごく少量で効果が得られる「防風通聖散」を第一選択にしているということです。

 2012年、便秘治療薬としては約30年ぶりに発売された「ルビプロストン(商品名アミティーザカプセル」は、小腸に作用し、便に含まれる水分をふやし、便を軟らかく移動しやすくします。

 慢性便秘に広く効果があり、長く飲んでも効きがわるくなる心配が少ないことがわかっています。

 ルビプロストン(Lubiprostone)は、主に過敏性腸症候群に関連する慢性特発性便秘症やオピオイド投与の副作用としての便秘の治療に用いられる医薬品である。

 米国で2006年1月に(2007年9月、2013年4月に承認追加)、日本では2012年7月に承認された。商品名アミティーザ。

 続いて2017年3月、同じように腸管の水分量をふやす便秘型過敏性腸症候群の治療薬としてリナクロチド(商品名リンゼス錠)が発売されました。

 2017年10月、日本最初の「慢性便秘症診療ガイドライン(指針)」が、日本消化器病学会関連研究会の慢性便秘の診断・治療研究会により刊行されました。

 同指針の策定に加わった横浜市立大学大学院の中島淳・主任教授(肝胆膵消化器病学)は、メディア・セミナーで、「ガイドラインで変わる日本の慢性便秘症」をテーマに講演。

「日本の便秘治療がガラパゴスから脱して、グローバル基準となり、患者が適切な治療を受けられるよう願っている」と話しました。

 同指針で、エビデンス(科学的証拠)レベルAかつ推奨度1で「有用であり使用を推奨する」とされたのは、ルビプロストン、リナクロチドと酸化マグネシウムなどの2種類。

「ルビプロストンと酸化マグネシウムを強く推奨」とされています。

 平成30年が便秘医療の元年になるよう期待したいと思います。

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