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物忘れが多い。本当に「認知症」? [健康短信]

物忘れが多いうちの母は本当に「認知症」?

その場しのぎ”の認知症ケアはもう古い

ペホス / 認知症ケア・コミュニケーション講師

母親:あんた、今日の晩ご飯は?

息子:いらないってさっきも言ったよ。何回聞くんだよ。

母親:あら、そう?

息子:しっかりしてくれよ……。

 お母さんとこのやり取りをした息子さん(30代)に、「私の母は『認知症』なんでしょうか?」と相談されました。

 話を聞くと、お母さん(70代)は日常生活をきちんと送れていて、物忘れはあるものの、年相応の物忘れのように思えました。

 そこで、「お母さんが『認知症』ではないかと疑っているようですが、どんな発言や行動からそう思うのでしょうか?」と尋ねたところ、次のような答えが返ってきました。

 ▽「ご飯はいるのか?」って毎日聞かれます。「いる」「いらない」ってその都度返事をしているのに、しょっちゅう聞き返されるのでイライラします。

 ▽テレビのリモコンの使い方を説明しても、僕の説明の半分も覚えていません。だから結局、毎回使い方を教えるはめになります。

 ▽きれい好きだったのに、家にほこりがたまっていても気にしなくなりました。本人は「掃除はしている」と言うのですが、本当かどうか……。

 息子さんが「ひょっとして『認知症』じゃないか?」と疑いたくなるのもうなずけます。しかし、ここに落とし穴があります。

 本当に「認知症」が原因なのか? という疑問

 息子さんの体験を、「認知症」の可能性を考えながら見ると、次のように推定できます。

(1)返事をしているのに、しょっちゅう聞き返してくる(記憶力の低下)

(2)伝えたことを、半分ぐらいしか理解していない(理解力の低下)

(3)きれい好きだったのに、ほこりがたまっていても気づかない(性格の変化)

 「記憶力の低下」「理解力の低下」「性格の変化」は、「認知症」が原因で起こる症状で、息子さんの心配も無理はありません。

 もちろん、可能性はあるかもしれませんが、わたしはあえて「『認知症』ではないのでは?」と見るようにしています。

 「認知症」に限ったことではありません。

 人は「○○ではないか?」と見当をつけると、当てはまる情報に照準を合わせたがる傾向があります。

 しかし、「認知症」の可能性が高いとしても、「認知症」ではない可能性も考えながら話を聞くことで、違う見方ができます。
 
 両方の視点からバランスのとれた見方をして、その人の行動を理解することが大切です。

 そこで、息子さんに次のような観点をお伝えしました。

 その行動は「認知症」が原因ではないかも?

(1)返事をしているのにしょっちゅう聞き返す

 ここで鍵になったのは「しょっちゅう」というフレーズでした。

 「毎回ではない」ということです。実際、息子さんに聞くと、「聞き返されない時もある」ということでした。

 であるなら、単純に「返事が聞こえていない」可能性があります。

 息子さんに「はっきり聞こえる声で返事していますか?」と聞くと、

「出かける準備をしながらだし、ちょっとイライラしながら返事をしているので、もしかしたらよく聞こえていないかもしれません」とのことでした。

(2)伝えたことの半分ぐらいしか理解しない

 ポイントは「僕の説明の半分も覚えていないんですよ」という点。

 つまり、半分は理解しているけれど、半分はあいまいにしか理解していない可能性です。

 年齢を重ねると、聞いたことを理解するスピードが遅くなります。そのため、早口の説明を理解しにくくなることがあります。

 そこで、「ゆっくり丁寧に説明していますか?」と尋ねると、「ああ、またか!と思うこともあり、早口でぞんざいな説明だったかもしれません」と言います。

(3)きれい好きだったのに、ほこりがたまっていても気づかない

 お母さんはほこりに気づかないようですが、「掃除はしている」と言っています。

 可能性として、白内障などによる視力低下が起きているのかもしれません。

 視界に「もや」のようなものがかかっているように見えるので、単純にほこりが見えないことが考えられます。

「お母さんは白内障と言われていませんか?」と尋ねると、「そういえば1年前、手術するほどではないが、白内障があると聞いたことがあります」とのことでした。

 認知症かどうかは医師の診断で判断を

 このように、息子さんの体験から、「(声が小さくて)聞こえていない」「(話が)早すぎてわからない」「(白内障で)見えていない」という可能性を考えることができました。

 その後、お母さんは病院で受診し、医師は「年齢相応の物忘れで、『認知症』ではありません」と診断したそうです。

 一見「認知症」に見える行動が、別な理由で起きた可能性を考えることも、「認知症ケア」では大切です。

 ※「認知症」の原因疾患は80種類以上あると言われています。

 認知症という単純表記で正確さを欠く記述にならないように、小欄では、さまざまな疾患が原因で起こる総称としての認知症を、かぎかっこ付きの「認知症」と表記します。
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