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ビールだ! ビールだ! [健康小文]

 父の日はビールを飲むによい季節   史朗

 大阪の川柳結社「番傘」を主宰した岸本水府(1892~1965)監修『番傘川柳一万句集』で見つけた句だ。

 今日はどうもちと肌寒く、ビールより吟醸酒がうれしい感じだけど、ま、せっかくだからビールの話。

 快汗―と呼ぶにふさわしい健康的な汗をかいた一日が暮れて、カラカラに乾いたのどに、キーンと冷えたビールを流し込む。ふっと気の遠くなるような快感だ。

 むろん夏の夕べに限らず、ビールはいつ飲んでもうまい、うれしい酒だ。おまけに、体にもよい。

 こんなデータがある。

 カナダの研究者らが約2万人の成人を対象に、飲酒の習慣と、病気で休んだ日数などを調査したレポートによると、

 「ビールを週4~7缶飲んでいる人」は、酒を飲まない人も含めた全平均に比べて、病気にかかる割合が28%も低かった。

 ビールを飲むと、お叱呼がよく出る。ビールの利尿作用と、ビールの水分の相乗作用だ。
 
 成人の1日の尿量は1・2~1・5リットルだが、ビールを1本(大瓶=633ミリリットル)飲めば2㍑以上にふえる。

 これについての最も早い知見を提示した一人は森鴎外だろう。

 早熟の秀才だった鴎外は、19歳にして東京帝国大学医学部を卒業、陸軍病院に勤務中の1884(明治17)年、衛生学研究を命ぜられ、ドイツに留学した。

 ドイツ留学中、ミュンヘン大学衛生学研究所で教授に勧められて、「ビールの利尿作用について」というドイツ語の論文を書いた。

 被験者の6人に、1日10回、ほかに何も飲食せず、ビール、水、ホップ煮汁、アルコール溶液を摂取してもらうという実験を行った。

 結果、アルコールに利尿作用があることが判明。ドイツの学会に発表したところ、大いに喝采をあびたという記録が残っている。

 そのビール熱は帰国後もさめず、「東京醫事新誌」の第520号(明治21年3月17日発行)から531号(6月2日)に、「陸軍一等軍醫醫學士 森林太郎」の署名で、「麥酒ノ利尿作用」なる論文を7回にわたって連載した。

 ビールの利尿作用は、鴎外が指摘したアルコールのほか、ビールに含まれるカリウムにもあるし、『汎用生薬便覧』(2000年刊)には、ホップの薬効の一つに利尿があげられている。

 といったわけで、尿路結石(腎臓から膀胱までの尿の通り道にできる結石)ができやすい人は、「ビールを飲んでダンスをしなさい」と泌尿器科の先生は勧める。

 尿量をふやして、体をよく動かせば、小さい結石なら自然に流れ出ることが多いからだ。

 ビールは胆石を防ぐという研究報告もある。適度のアルコールが胆汁中のコレステロール(胆石の主要成分)を少なくするらしい。

 ビール大瓶1本に含まれるくらいのアルコールは、血液中のHDL(いわゆる善玉コレステロール)をふやし、動脈硬化の進行を抑える。

 1日1合程度の晩酌をしている人には狭心症、心筋梗塞などの心臓病が少ないことが、疫学調査(統計学的手法を用いて病気や健康状態などについて調べる医学)で明らかにされている。

 ビールの「発がん抑制作用」についても多くの研究発表がある。

 米イリノイ大学医学部のR・ネルソン教授らが行った発がん実験では、常にビールを薄めた水を飲ませていたネズミ群は、ほかのネズミ群に比べて、大腸ガンの発生率が半分以下だった。

 日本大学薬学部の滝戸道夫教授(現・名誉教授)らは、ビールの発がん抑制作用の主役は、ホップの中のフムロンという苦みの成分であることを突き止めた。

 滝戸教授は、天然の物質から「ガンの予防薬」を探し出す研究を長年続けている。

 たとえば、カキノタネやカマボコに塗られる赤い色素(アザフィロン系色素)の発がん抑制効果を確認したのは、その成果の一例だ。

 ならば、ガンの予防は、カキノタネをつまみながらビールを......と言ったら、

「それはあまり科学的な話ではありませんね」と笑われてしまったが。

 ホップには植物性の女性ホルモンが含まれている。

 そのため「ビールは女性をセクシーにする」ともいわれる。ビールは女性をより女性的に美しくする酒でもある。

 ─というようなわけで、ビールは元気と美容のクスリ、「百薬の長」の中の長、といえるようだ。

 ただし、そうしたビールの効用は、あくまで「適量」を飲んだ場合の話─。

 ヤボなつけたしだが、飲み過ぎると、薬が毒に変わることもあるのは、ほかのあらゆる酒類と同じである。
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朝型と夜型の健康格差 [健康小文]

朝型と夜型の健康格差なぜ?
柴田重信 / 早稲田大学教授
田原優 / カリフォルニア大学ロサンゼルス校助教

 皆さんの生活スタイル、つまり朝型なのか夜型なのか、さらに朝型、夜型の特徴、健康へのリスクについて考えてみましょう。

 自分は朝型?夜型?それとも中間型?

 朝型、夜型などの生活スタイルを、私たちの研究分野では「クロノタイプ」と呼びます。

 まずは自分の生活スタイルがどのクロノタイプに当てはまるのか考えてみましょう。

 クロノタイプを調べる方法はいくつかありますが、ここではドイツのティル・ロネンバーグ教授が考案したMCTQという質問紙を用いた方法を紹介します。

 その質問紙では、「何時何分に寝床に入りますか?」「眠りにつくのに何分かかりますか?」「何時何分に目覚めますか?」といった質問を平日、休日それぞれ聞きます。

 実際には、仕事の時刻や食事調査なども含まれ、最終的に少し複雑な計算をしますが、今回は簡易的に説明させてください。

 自分の「休日」の睡眠時刻を思い出して、その中間時刻(寝ている時間のちょうど真ん中の時刻)を計算してみてください。

 例えば私は、24時に寝て7時に起きるので、3時半が中間時刻となります。

 何時から何時が朝型ですといった決まりはありませんが、中間時刻が3時半の私は、ほぼ「中間型」と考えていいと思います。

 皆さんはどうでしょうか? 

 大体の人は中間型になります。

 後述の病気リスク等の話は、極度な朝型、または極度な夜型の人における調査結果なので、少し夜型だから大問題だというわけではないことにご注意ください。

 若者は夜型、高齢者は朝型が多い

 10~80代の男女5万5000人を対象に調べた睡眠中間時刻の結果、20~30代で最も夜型化し、その後、朝型化し、さらに女性よりも男性で夜型化しやすい傾向がみられます。

 ティル・ロネンバーグ教授は、10代から80代までの男女5万5000人にこの質問紙を用いてアンケート調査を行っています。

 その結果から分かったことは、年齢によって朝型、夜型が変化しているということでした。

 10代では中間時刻が3.5時だったのが、20~30代では約5時にまで後退しています。

 つまり青年期は成長と共に夜型化していく、ということです。

 しかし、その年代をピークに、その後段々早まっていき、60~80代では約3時と朝型化しています。

 この結果から明らかなように、高齢者は早寝、早起きであり、やはり朝型が多いのです。

 また、男性の方がより20~30代の夜型化が顕著で、この男女差が生まれた理由はまだよく分かっていませんが、男性は社会的な影響(仕事など)も大きいのかもしれません。

 夜型の方が病気のリスクが高い

 では、クロノタイプの違いによる健康への影響はあるのでしょうか?

 いくつかの報告から、夜型はBMIが高い傾向にあり、さらに摂食障害、アルコール依存症への罹患(りかん)リスクが高いことが分かっています。

 特に食に関して言えば、夜型の人は朝食を食べない傾向があり、さらに“むちゃ食い障害”になるリスクも高いことが報告されています。

 むちゃ食い障害は一種の過食性障害であるので、夜型の人は過食傾向になりやすいのでしょう。

 また、食パターンが夜型化することは、体内時計の夜型を促進し、肥満も促進します。

 よって、一度夜型生活を始めてしまうと、そこから抜け出すのは困難になるでしょう。

 また夜型の人は、躁うつ病になりやすいことも報告されており、逆に躁うつ病患者を調べてみても夜型の割合が高く、メラトニンやコルチゾールといったホルモンの日内変動にも遅れが見られます。

 夜型は社会的時差ボケになりやすい

 夜型の方が健康への影響が大きいのは、睡眠不足が大きな要因になっていると考えられています。

 どうして夜型の人が睡眠不足になりやすいかというと、「社会的時差ボケ」が関連してきます。

 休日の睡眠時刻を元に皆さんのクロノタイプを判断する方法をご紹介したのは、休日の睡眠時間の方が個人の体内時計をより反映した結果であるためです。

 実際、ほとんどの人は、平日は会社や学校といった社会的な理由により、早起きを強いられています。

 ティル・ロネンバーグ教授の調査結果でも、図3のように夜型の人ほど、平日と休日の睡眠時間に差が生まれているのが分かります。

 よって、夜型の人ほど平日に無理に早起きし、だけれども夜は遅くまで起きてしまう傾向にあり、結果的に睡眠不足になるわけです。

 これを平日の睡眠負債の蓄積と表現します。

 夜型の方は休日にたくさん寝ることで睡眠負債を解消するのです。
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意外! 問題! 緑内障! [健康小文]

 先年、6月7日の「緑内障を考える日」を前に、眼科医療製品メーカーの日本アルコン株式会社が実施した意識調査で。意外な(+憂慮すべき)実態が明らかになった。

 調査は、全国の40歳以上の男女360人を対象に、「一般層」「緑内障の疑いがある層」「緑内障患者層」の三つのグループに対しておこなわれた。

 緑内障は、現在、日本の中途失明原因の第1位、40歳以上の20人に1人の割合で発症している。

 ところが、一般層の約8割(79.2%)は、その事実を知らなかった。

 それどころか、そもそも「緑内障」という病気について、「まったく知らなかった」と「名前のみ知っていた」を合わせると、約4割(39.2%)にも達した。

 健康情報に最も深い関心をもっているはずの世代にして、この数字。ちょっと(どころか、大いに)意外であり、問題だと思う。

 そうした状況の反映なのだろう。

 現在、治療中の緑内障の患者のうち、自覚症状に気づき、自分から眼科を受診した人はわずか2割弱(18.3%)にすぎない。

 ほかの人たちが、緑内障と診断された主なきっかけは、「定期健診」が50.8%で、別の「眼の病気で通院、指摘された」が17.5%である。

 このことは、緑内障が自分では気づきにくい病気であることと、健診の有用性を強く示唆している。

 緑内障の専門医、桑山泰明・福島アイクリニック院長の解説。

「緑内障は、視神経が傷み、視野が狭くなっていく病気です。

 視神経はおよそ100万本の細い神経線維でできていて、その数が減るにつれて見えない部分が広がっていきます。

 初期は自覚症状に乏しく、なかなか気づかないことが多いため、受診が遅れ、症状が進んでしまうことがよくあります。

 実際、緑内障患者さんのうち、治療を受けている人は1割程度といわれ、残りの9割の人は未発見のまま放置されている潜在患者さんです。

 緑内障には、眼圧が高い緑内障も、眼圧は高くない緑内障もあります。

 日本人の緑内障の約75%は「正常眼圧緑内障」とよばれる、眼圧は正常範囲内の緑内障で、視神経に原因があると考えられています。

 したがって、眼圧だけで緑内障の判断はできません。

 緑内障の診断には、眼底検査で視神経の状態を直接確認し、確定のために視野検査(鮮明に見える範囲)を行います。

 緑内障の初期段階では、鮮明に見えない範囲は狭い(視野は広い)ので、日常生活での支障はほとんどありません。

 その初期段階から治療を開始し、継続すれば、病気の進行を抑えることができます。

 ですから早期発見・治療がとても大切なのです。

 40歳以降は定期的に眼の検査を受け、緑内障と診断されたら、毎日欠かさぬ点眼治療を続けてください。

 それがあなたを失明から守る唯一絶対の方法です」

 緑内障のシグナル

 緑内障には、いくつかの種類があるが、最も多いのが原発緑内障で、急性タイプ(閉塞型)と慢性タイプ(開放型)がある。

 急性タイプの発作は、激しい頭痛と吐き気で始まる。

 このとき目の異常に気づかず、眼科の治療を受けるのが遅れると失明することさえある。

 慢性タイプの緑内障は、じわじわ進行するので、なかなか気づきにくい。

 ■本などを読むとき目がぼやける。

 ■夜、ふと目覚めたときに目がぼやけているが、朝になると正常に戻っている。

 ■電灯のまわりに虹が見える。

 ■目が疲れやすく、頭が重い。

 こんな症状があったら眼科で精密検査を受けるべきだ。

 遠視の人、近親者に緑内障患者のいる人、ひどい近視の人、糖尿病の人などはとくに要注意だ。

 なお、クモ膜下出血の前ぶれとして、眼球の位置がずれて斜視になり、ものが二重に見えて、どちらか片方のまぶたが下がるといった症状がみられることがある。

 脳内の動脈瘤(りゅう)のため、眼筋まひが起こったのだ。

 ただちに脳神経外科へ!
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WHO、トランス脂肪酸の排除 [健康小文]

WHOがトランス脂肪酸の排除を計画

 世界保健機関(WHO)は5月14日に、世界の加工食品から工業的に製造されたトランス脂肪酸を段階的に排除するための戦略的行動指針「REPLACE」を発表した。

 WHOによると、トランス脂肪酸の摂取による心血管疾患で毎年5万人超が死亡していることから、トランス脂肪酸を排除することは人々の健康と生命を守るための鍵になるという。

 WHO事務局長のTedros Adhanom Ghebreyesus氏は「加工食品に含まれるトランス脂肪酸を排除ための指針"REPLACE"を実行することを各国の政府に要求する。

 "REPLACE"の6つの戦略的行動を実行することで、食品からトランス脂肪酸を排除し、世界的な心血管疾患との戦いに勝利することができる」と述べている。

 非感染性疾患死の減少を推進

 工業的に製造されたトランス脂肪酸は、マーガリンなどの固形植物油やスナック菓子、焼成食品、揚げ物などに含まれる。

 製造業者は他の油よりも保存期間が長くなることからトランス脂肪酸を使用するが、風味やコストを変えずにより健康的な油を使用することもできる。

 "REPLACE"は、加工食品から工業的に製造されたトランス脂肪酸を迅速、完全、持続的に排除する6つの戦略的行動から成る。

●REview:工業的に製造されるトランス脂肪酸の原材料および必要な政策転換について展望する

●Promote:トランス脂肪酸をより健康的な脂肪や油に切り替える

●Legislate:トランス脂肪酸を排除するための規制措置を講じる

●Assess:食料品に含まれるトランス脂肪酸の量およびトランス脂肪酸の消費量の変化を評価、監視する

●Create:政策立案者、生産者、供給者、国民にトランス脂肪酸が健康に及ぼす悪影響に関する認識を促す

●Enforce:政策と規制のコンプライアンスを強化する

 幾つかの高所得国では、加工食品に含有できるトランス脂肪酸の量を法的に規制することで排除に成功した。

 また一部の国では、工業的に製造されたトランス脂肪酸の主な原料である部分水素添加油脂の使用を全国的に禁止している。

 トランス脂肪酸を最初に制限したデンマークでは、加工食品に含まれるトランス脂肪酸の量が劇的に低下し、心血管疾患死は経済協力開発機構(OECD)加盟国と比べてより急速に減少した。

 工業的に製造されたトランス脂肪酸を世界の食料品から排除することは、WHOの2019~23年の戦略的計画である第13回総合事業計画案(GPW13)の最優先目標の1つとなっている。

 GPW13は5月21~26日にジュネーブで開催される第71回世界保健総会の議題にも挙げられている。

 国際連合は持続可能な開発目標の一環として、世界の非感染性疾患による死亡を2030年までに3分の1に減少させることを目標としている。

 工業的に製造されたトランス脂肪酸を世界的に排除することで、この目標が達成できる可能性があるという。(大江 円)

 「 medical tribune」2018年05月21日

トランス脂肪酸は、構造中にトランス型の二重結合を持つ不飽和脂肪酸。

トランス脂肪酸は天然の動植物の脂肪中に少し存在する。

水素を付加して硬化した部分硬化油を製造する過程で多く生成される。

マーガリン、ファットスプレッド、ショートニングはそうして製造された硬化油である。

他にも特定の油の高温調理やマイクロ波加熱(電子レンジ)によっても多く発生することがある。

また天然にはウシ、ヒツジなど反芻動物の肉や乳製品の脂肪に含まれる。

LDLコレステロールを増加させ心血管疾患のリスクを高めるといわれ、2003年に世界保健機関(WHO)/国際連合食糧農業機関(FAO)合同専門委員会よって1日1%未満に控えるとの勧告が発表され、一部の国は法的な含有量の表示義務化、含有量の上限制限を設けた。

日本では、製造者が自主的に取り組んでいるのみであるが、同じように目標値が設定されている飽和脂肪酸の含有量が[1]増加している例が見られる。

パン、ケーキ、ドーナツ、クッキーといったベーカリー、スナック菓子、生クリームなどにも含有される。

他にもフライドポテト、ナゲット、電子レンジ調理のポップコーン、ビスケットといった食品中に含まれ、製造者の対策によって含有量が低下してきた国もあれば、そうでない国もある。

そうした食品を頻繁に食べれば、トランス脂肪酸を摂取しすぎることもある。
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安倍さん、大丈夫ですか? [健康小文]

 安倍晋三・首相の苦闘がつづいている。

 体調は大丈夫なんだろうか。

 2007年、第一次安倍内閣の首相を辞任したときの理由の大きな一つは「体調不良」。

 発表された病名は「機能性胃腸障害」だった。

 内視鏡検査では何ら異常は見つからないのに、胃もたれ、胃の痛み、胸やけ、下痢などの胃腸症状が続く病態を示す病名だ。

 以前はそうした病態はたいてい大抵「慢性胃炎」と診断された。

 内視鏡で見て、炎症があれば、もちろんのこと、なくても「慢性胃炎」といわれた。

 1998年、ローマで開かれた欧州消化器病学会で、「内視鏡検査では異常は認められないが、長期間にわたって胃腸症状が出没し、原因不明のものは、<ファンクショナル・ディスペプシア>と呼ぼう」と決められた。

 日本の消化器関連の学会もそれを受けて、「機能性ディスペプシア」という病名をつくった。

 ディスペプシアは、英和辞典には「消化不良」とあるが、医学的には「上腹部消化管症状」を意味する。

 わかりにくい病名だと、「機能性胃腸症」を推す意見もあったが、「機能性ディスペプシア」に決まったそうだ。

 だが、安倍さんの主治医も、そのカタカナ病名は使わなかった。

 その後、安倍さんは、本当の病名は「潰瘍性大腸炎」と公表された。

 大腸の粘膜に炎症が生じ、潰瘍や糜爛(びらん)ができ、激しい腹痛や下痢、粘血便(血液や粘液、ウミなどが混じった便)が出る、原因不明の難病だ。

 同じように腸管に炎症が生じ、下痢などの症状が起こる病気の、クローン病と合わせて「炎症性腸疾患」と呼ばれる。

 潰瘍性大腸炎の炎症は、大腸だけに限られるが、クローン病では口から肛門までの消化管のすべてに炎症が起こる可能性がある(一般的には小腸から大腸にかけてが多い)。

「潰瘍性大腸炎は、焼夷弾で焼け野原。クローン病はテロリストが仕掛けた爆弾。一点集中したところに深い穴があく」と、専門医はたとえる。

 どちらも活動期(再燃期)と緩解期を繰り返すタイプが最も多い。

 活動期の程度は軽症、中等症、重症、劇症に分類される。

 軽症は下痢の回数が1日4回以下で、血便などの程度も軽く、全身症状はない。

 重症になると、1日10回以上もトイレに行き、食事もできなくなる。

 栄養がとれないからげっそりやせる。

 潰瘍性大腸炎は、1859年、イギリスで初めて報告された。

 わが日本は幕末、安政の大獄や桜田門外の変が起こったころだ。

 クローン病は、1932年、ニューヨークのマウントサイナイ病院の内科医、バーナード・クローンが報告した。

 日本人には少ない病気だったが、近年急増している。

 現在の患者数は、潰瘍性大腸炎約16万人、毎年5000人程度増加している。

 クローン病の患者数は約4万人以上。

 どちらも自己免疫疾患といわれている。

 自己免疫疾患とは、病気に対抗し体を守る免疫反応のしくみが乱れ、自分自身の体を攻撃してしまう病気。

 自己抗体が関節を攻撃すると関節リウマチになるように、炎症性腸疾患では、大腸などの腸管を攻撃する。

 もう一つ、重要なのは食事で、食生活の欧米化(動物性脂肪の摂取量の増加)につれて、潰瘍性大腸炎もクローン病も増えている。

 特にクローン病には食生活の影響が大きいことが、厚労省研究班の食事調査で明らかにされた。

 一方、潰瘍性大腸炎で特徴的なのはストレスで、病気になる前、あるいは病気が再燃する前に、非常に苦悩した症例が多いという。

 そう聞くと、つい、あの首相辞任時の憔悴しきった感じの安倍さんを思い出す。

 昨今、テレビで見る安倍さんにはあの面影は、ほとんどうかがえない。

 いま、いくつかよく効く新薬ができて、そのなかの一つが安倍さんにも著効を呈し、寛解同然の状態であるという。

 なお、潰瘍性大腸炎もクローン病も、平均寿命は普通の人と変わらない。
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“貯筋”のすすめ [健康小文]

百歳まで生きるための“貯筋”のすすめ

まずはあなたの「筋肉年齢」を調べましょう

 今回は筋肉の話です。

「筋肉の話」と聞くと「自分には関係ない」と考える方がいるかもしれませんね? 

 しかし、体全体における筋肉の大切さを知るうえで、そういう方にこそ読んでほしい内容です。

 まず、読み進める前に「Dr.米井のアンチエイジング・セルフチェック」で、あなたの機能年齢を測りましょう。

 その結果のうち、「筋肉年齢」に注目してください。

 あなたの実年齢より若くなりましたか? 

 それとも年を取った結果になったでしょうか?

 30歳以降、年に1%ずつ減少

 最近はいろいろと便利な世の中になってきましたが、便利過ぎて運動が不足し、筋肉が衰えている人が増えています。

 30歳を超えると筋肉は年1%ずつ萎縮し、70歳を超えた人の筋肉は、「全盛期」の7割以下、80歳では6割以下に減ってしまいます。

 筋肉の役割は第一に体を動かすことですが、それ以外にも重要な役割があります。

 食事から得たブドウ糖(グルコース)の7割が骨格筋で消費されます。

 筋肉が減れば太りやすくなるばかりか、糖尿病にもなりやすくなります。

 筋肉は骨を丈夫にするたんぱくを作りますし、転んでもけがが少なくすむように筋肉が骨と関節を守っています。

 筋肉運動によって生じる乳酸は脳下垂体に作用して成長ホルモン分泌を刺激します。

 これは若さと健康を保つための重要なホルモンです。

 さらには筋肉量の低下を放置していると寝たきりの原因になります。

 女性はもともと男性より筋肉が少ないですから、特に注意が必要です。

「まだ先のこと」「自分には関係ない」と思っている30代の段階で、筋力トレーニングなどの対策を始めておくべきです。

 早い段階から筋肉を作る「貯筋」をしましょう。

 日本人約1万人を対象に、私たちが行った筋肉量の調査結果を紹介します。

 男性も女性も大腿(だいたい)すなわち「ふともも」と、腹筋と背筋を合わせた「体幹」の筋肉の衰えが目立っています。

 ふとももの「大腿四頭筋」という筋肉は人体で最大の筋肉です。

 効率よく鍛えて貯筋をしましょう。

 男性4365人、女性5970人を対象に調査。

 百寿者の元気の秘密は筋肉にあり?

 興味深いのは100歳近い人たちの変化です。

 男性では体幹の筋肉が90歳から100歳にかけて増えています。

 見方を変えると、腹筋が無い人、衰えてしまった人は、100歳まで生き残れないという可能性を示しています。

 ここはぜひとも「百寿者」に学んで、腹筋と背筋のトレーニングを実践しましょう。

 女性では下腿、すなわち「ふくらはぎ」の筋肉が100歳で増えています。

 100歳まで生きた女性はふくらはぎが発達している、と言うことができます。

 そこで女性には、60歳、70歳を過ぎてもハイヒールを履くことをお勧めします。

 大学でも学生に「ハイヒールの引退年齢は遅い方が良い」と講義しています。

 ハイヒールを履くと疲れる。

 でも、それが良いのです。ふくらはぎの筋肉が鍛えられて、脚が美しく締まります。

 背筋がピンと伸びて、お尻は上がるし、なんといってもおしゃれです。

 ハイヒールが苦手な方は筋肉が衰えている証拠。

 今からでも遅くはありません。初心者や再起者はまずは5cmくらいの高さから始めましょう。

スクワットでふとももを鍛錬

 それでは貯筋の具体的な方法を伝授します。

 年1%の筋肉萎縮を防ぐには、週3日以上の筋トレが必要です。

 前述の人体最大の筋肉「大腿四頭筋」は、ふとももの前にあり、立ち上がる際や歩行時に使いますが、特に衰えやすく、衰えると寝たきりの原因になります。

「寝たきり」なんてずっと遠い未来の話と思っているあなた、今から貯筋で将来に備えましょう。

 筋トレには、立ったり座ったりする反復運動(スクワット)を必ず盛り込んでください。

 スクワットにも種類があります。

 完全にしゃがんだ状態から立ち上がるフルスクワット、椅子に座った状態から立ち上がるハーフスクワット。初心者はテーブルやキッチンにつかまって体を支えながら行うのが良いでしょう。

 これならばオフィスでの仕事の合間や、キッチンでの食事の支度の合間でも実践できます。

 筋トレは、自分のライフスタイルの中に組み込んだ方が長続きします。

 できるだけ早く、若いうちに始めるほど効果的ですが、筋年齢の“高齢者”も悲観することはありません。

 コツコツと努力すれば、効果は必ず表れます。

ランチに「たんぱく質をプラス」の意識を

 筋肉を保つために、もう一つ忘れてはならないのは栄養バランスです。

 その基本は摂取カロリーの比率が炭水化物:たんぱく質:脂質=6:2:2に近づけること。

 最近、炭水化物が多すぎて、たんぱく質が少ない人が増えています。

 たんぱく質が足りないと貯筋ができなくなります。

 炭水化物を減らし、たんぱく質を増やして6:2:2を目指しましょう。当然、お菓子をランチ代わりにするのは厳禁です。

 炭水化物過多に当てはまりそうな人は、1日でご飯1杯分を減らして、お肉かお魚を80g増やす感じに変えてみましょう。

 特にランチは炭水化物が多くなりがちです。

 ラーメンはチャーシューメンに、もりそばは天ぷらそばに変更し、パンだけではなくチーズとハムを追加しましょう。

 炭水化物を全然取らないとか、肉や魚などたんぱく質しか食べないといった極端な食事療法はかえって危険。健康を損ねてしまいます。何ごともバランスが肝要です。

 健康な方はもちろん、太り気味の方、糖尿病予備軍の方、筋肉量が減ると体重や血糖コントロールはさらに難しくなってしまいます。

 全身のバランスから見直してみて筋肉量が落ちている、と感じる方は、ぜひとも今から筋肉量を増やす「貯筋の習慣」を始めましょう。

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中高年の水泳、是か非か [健康小文]

 中高年の水泳が盛んだ。

 腰痛、ひざ関節症などの治療や再発予防に水泳を勧める医師も多い。

 しかし、運動は「薬」と同じ。その人に応じた量と種類を間違えると、危険につながる。

 高血圧、心臓病、糖尿病、痛風などを持っている人、肥満し過ぎていたり、体調があまりよくない人は、水泳を始める前にぜひ健康診査を受けよう。

 関節が弱くなったり変形している人も、整形外科医のチェックやアドバイスを受けるべきだ。

 なかには潜水反射といって、顔を水面につけると脈が乱れたり、心拍数が減少する自律神経反射を起こす人もいる。

 洗面器の冷水に顔をつけて、脈拍をチェックしてみるとわかる。

 泳ぎの種類では、中高年に向くのは、クロールか背泳ぎ。

 平泳ぎはまぁまぁだが、バタフライは首、腰、ひざをいためることが多い。

 上体をそらせる運動は、しびれ感の原因にもなりやすいようだ。

 少しでも疲れたと感じたらすぐ出る。

 腹八分目というが、水泳の基準は六分目くらいが適当だ。

 注意点を守れば、水泳は、中高年の心身をリフレッシュする好適のスポーツといえる。
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ストレスはやっぱり健康に悪い [健康小文]

 精神的苦痛やストレスが健康に悪いくらい誰でも知っている。

 だが、ストレスを具体的に表現する方法が難しい。

 科学的なデータは案外少ない。

 ストレスと健康に関連した論文を石蔵文信・大阪大学招へい教授が紹介している。

 精神的苦痛でがんが増える三つの理由

 BMJ(イギリス医師会雑誌:British Medical Journal)誌オンライン版に掲載された、英国のG David Batty氏らによる精神的苦痛とがんの関係に関する研究。

 1994~2008年に開始された16件の研究に参加した患者の中で、自身の報告による精神的苦痛スコアの記録がある16万3363例を解析の対象にしている。

 かなり大規模なデータではあるが、精神的苦痛に関しては自己申告である。

 平均約10年の調査期間中に1万6267例が死亡し、このうち4353例ががんで死亡した。

 解析の結果、精神的苦痛が軽度の群に比べ、苦痛が重度の群は、すべての部位のがん死亡率が高かった。

 精神的苦痛が重度の群は、喫煙非関連がん、大腸がん、前立腺がん、膵(すい)がん、食道がん、白血病のリスクが特に高かった。

 この中でも大腸がんと前立腺がんのリスクは、精神的苦痛スコアが上がるに従って増加した。

 精神的苦痛でがんが増えるのはなぜなのか、Batty氏らは三つの理由を挙げている。

1) 実はがん細胞は健康な人でも毎日数千個くらいできている。それを免疫、特にナチュラルキラー(NK)細胞がやっつけてくれているので大きながんにはならない。

 精神的苦痛に繰り返しさらされると、そのNK細胞の機能が低下してがんが増殖する。

2)脳の視床下部は自律神経やホルモンをコントロールする重要な部位であるが、ストレスが続くとその機能が低下し、とくにホルモン関連がんの防御過程に悪影響を及ぼす。

3)苦痛によって飲酒や喫煙が増え、運動不足や食生活の乱れによる肥満などのリスクを介して、間接的に発がんの可能性を高める。

「脳」が引き起こす心血管の病気

 もう一つはLancet誌(査読制の医学週刊雑誌)オンライン版に掲載された、脳の扁桃(へんとう)体と呼ばれる部位の活性化と心血管疾患の発症との関連を検討した、米国のAhmed Tawakol氏らによる研究である。

 この研究で、対象は293例と少ないものの扁桃体の活性を見るためにPET/CT(陽電子放射断層撮影とコンピューター断層撮影の画像を同時に撮影する)検査を施行している。

 扁桃体とは、情動と記憶に関して重要な役割がある。

 検査の結果、ストレスを受けると脳の扁桃体が活性化し、動脈の炎症や心血管イベント(心臓や血管に起こる病気)のリスクと関連していることがわかった。

 慢性的なストレスは心血管疾患の増加と関連することはいろいろな研究から明らかであったが、そのメカニズムはこれまでよくわかっていなかった。

 今回の研究で、認知や情緒のように複雑な機能に関与する脳のネットワークが活性化すると、恐怖やストレスに関連するホルモンや自律神経が変化し、動脈などを傷害して心血管の病気を引き起こすことが明らかになった。

 二つの研究で指摘されたように、視床下部や扁桃体はストレスの影響を受けやすい。

 こうした脳の働きを自身でコントロールするのは、極めて困難である。

 それゆえ、がんや心臓病を予防するには、生き方や働き方を見直してイライラせずにのんびり生きることがよさそうだということは間違いないだろう。
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痛風の藥と心臓病の関係 [健康小文]

痛風治療薬により心血管イベント発生率に差

 痛風患者が使用している治療薬により心血管イベントの発生率に差が見られると、米国などのグループが発表した。

 痛風患者は心筋梗塞、脳卒中、心不全を含む心血管疾患のリスクが高い。

 同グループは2008~13年のメディケア登録から、プロベネシドまたはアロプリノールによる治療を開始した65歳以上の痛風患者を抽出。

 傾向スコアによりプロベネシド群とアロプリノール群を1:3でマッチさせ、心血管イベント発生率を比較した。

 解析対象はプロベネシド群9,722例、アロプリノール群2万9,166例で、平均年齢76歳、男性54%であった。

 解析の結果、100人・年当たりの心筋梗塞または脳卒中の発生率はアロプリノール群の2.83例に対し、プロベネシド群では2.36例で有意差が認められた。

 二次解析では、プロベネシドはアロプリノールに比べて心筋梗塞、脳卒中、心不全の悪化および死亡のリスク低下と関係していた。

 これらの結果は、登録時に心血管疾患または慢性腎臓病がなかった患者を対象にしたサブグループ解析でも一貫していた。
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「老衰」という逝きかた [健康小文]

現代の5大死因

国際連合の定義によると、総人口に占める65歳以上の老年人口が7%を超えると「高齢化社会(1970年達成)」、14%を超えると「高齢社会(1995年達成)」、21%を超えると「超高齢社会(2007年達成)」と呼ばれます。

日本は世界に先がけて「超高齢社会」に到達しました。

2016年の高齢化率は27.3%で、2036年には33.3%に達し、なおも増加し続けると推計されています。

「超超高齢社会」がもうそこまで来ています。

平成27年の死因別死亡率をみると、1位は「がん」、2位は「心臓病」、3位は「肺炎」、4位は「脳卒中」、そして5位は「老衰」です。

6位「事故」、7位「腎不全」、8位「自殺」と続いています。

病気で亡くなる人が上位4位をしめていますが、6位の事故を上回って5位に「老衰」がランキングされているのは、やはり、超高齢社会の特徴と言えるでしょう。

ちなみに、戦後、減り続けていた老衰死は、2000年頃を境に増加に転じて、2010年頃から急増しています。

79歳までは男性の老衰死が多く、80歳以降になると女性の老衰死が多くなるという分析もあります。

あいまいな「老衰死」

「死因としての「老衰」は、高齢者で他に記載すべき死亡の原因がない、いわゆる自然死の場合のみ用いる」(死亡診断書記入マニュアル、厚生労働省)というのが公式な「老衰死」の定義です。

老化による自然死が「老衰死」ということです。

この定義では病気や事故といった「他に記載すべき死亡の原因」がないことを“自然死”と定義しています。

しかし70歳を超えて「どこも悪いところがない」という人は、一体どれほどいるのでしょうか?

昨今の研究では、老化の生理・生物学が解明されてきています。

「老いる」ことは細胞や組織のレベルでも起こっています。

むしろ、免疫が弱って感染症にかかったとか、動脈硬化で脳卒中が起こったなどは、老化の“自然”とは言えないのでしょうか?

現実には「病気の治療などを受けていなかった」高齢者が死亡したとき、事故や事件性がなければ“自然死”、つまり「老衰死」と判断されるのでしょうか?

死亡の確認をし診断をするのは医師の役割です。

『NHKスペシャル「老衰死~穏やかな最期を迎えるには~」』(2015年9月放送)では、老年医学会が行った全国の高齢者医療に従事する医師を対象としたアンケート結果を紹介し、「老衰死として診断することに対して、難しさや不安・葛藤を感じたことはあるか」という質問に対して、46%が「ある」と回答しています。

その理由は次のようなものでした。

・老衰死の定義が不明確

・高齢者の場合、複数の疾患が複雑に絡み合っている症例が多く、老衰死と診断するのが難しい

・老衰死とすることを認めるための社会的合意が必要だから

(参考:NHKスペシャル取材班『老衰死』講談社、2016.より)

このように、専門医でさえ診断が難しいのが「老衰死」と言えるでしょう。

介護現場にみられる「老衰死」の現実

同番組では一方で医師や研究者(国外も含めて)へのインタビューを行いながら、もう一方で、現場で「老衰死」の経験に密着するという、二本立てのスタイルで番組が構成されています。

とくに、東京都世田谷区特別養護老人ホーム「芦花ホーム」での取材が大きく取り上げられています。

その中で、石飛幸三医師が中心となって「平穏死としての老衰死」を看取っていると番組は紹介しています。

緊急に搬送された病院では、医師も患者と接触できる時間は限られ、とくに「老衰死」と判断するのは至難のことでしょう。

その点、介護施設などではかなりの時間を、本人と接しながら診ていくことが可能です。

それが、「老衰死」という判断を可能なものとしているように思えます。

そして、老衰死していく人たちが共通して見せるサインが、次の3つだと言います。

・亡くなる1週間ほど前から食べなくなる

・多くの時間を眠り続ける

・大量の尿が出て、枯れるように亡くなる

(参考:同上書より)

延命か老衰か:私たちの選択が可能

「いかに生きながらえるか」という難問にチャレンジして医学・医療は発展し、超高齢社会が達成されてきました。

延命の技術としての医学はなおも進歩を続けています。

その一方で、延命治療をしないで穏やかな老衰によって死んでいく人も増えています。

戦争や大災害、犯罪に巻き込まれるといった事故・事件がなければ、今、日本人の私たちは「延命か老衰か」を選択できる時代を生きています。

ですから「どう死にたいのか」を考えたり、話し合ったりする時間をもっと大切にする必要があるでしょう。

老化を予防する概念として「フレイル」ということが言われています。

運動不足や栄養不足などが老化と合わさって、病気にかかりやすくなったり寝たきりになりやすい「脆弱性」のことを指しています。

健康日本21(第2次)ではフレイル対策がキーワードともなっています。

「健康寿命を伸ばすべく、よく食べ、しっかり運動し、よく眠ろう!」というわけです。

【参考】
・政府統計「平成29年我が国の人口動態」(http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/81-1a2.pdf
・NHKスペシャル取材班『老衰死』講談社、2016.
・社会福祉法人 世田谷区社会福祉事業団『世田谷区立特別養護老人ホーム 芦花ホーム』(http://www.setagayaj.or.jp/service/nursinghome/roka/
http://ikiiki-laboratory.com/ppk/

執筆 藤尾 薫子(保健師・看護師)。監修 とらうべ
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