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お茶は薬、鉄剤禁忌はウソ。 [「健康常識ウソ・ホント」再録]

健康常識ウソ・ホント(46)  

鉄剤=OK、気管支拡張剤=NG。

♫夏も近づく八十八夜…も過ぎて、新茶の出盛る季節が訪れた。

急須に少し多めに茶葉を入れ、少し待ってつぐと、茶わんに緑色の光がみち、さわやかな香りが立ちのぼる。………。

「茶は養生の仙薬なり。延齢の妙術なり」と説いたのは、臨済宗の開祖、栄西禅師。宋から茶の種を持ち帰って栽培し、『喫茶養生記』を著した。日本で本格的に飲茶の習慣が普及したのはそれ以後といわれる。

現代科学が明らかにした緑茶の効能は、抗酸化作用、血中コレステロール低下作用、血圧降下作用、血糖低下作用、抗菌作用、抗インフルエンザ作用、虫歯・口臭予防作用、疲労感や眠気の除去作用……などなど。

「抗酸化」から「抗インフル」までを言い換えると、がん、動脈硬化、高血圧、心臓病、脳卒中、糖尿病、風邪、食中毒を防ぎ・治す効果あり─ということになる。

健康な高齢者とアルツハイマー型認知症患者の「食品摂取頻度調査」を行った植木彰・自治医大教授(神経内科)によると、健康なお年寄りたちが緑茶を1日5杯以上飲んでいるのに対して、認知症の人はほとんど飲んでいなかった。

「緑茶のフラボノイド(カテキン)には、抗酸化作用があることが知られており、アルツハイマー型認知症の発症の予防に関与していることが考えられる」と、『ボケを防ぐ本』(マキノ出版刊)で述べている。

 金沢大学大学院神経内科の山田正仁教授は、緑茶に含まれるポリフェノール類が認知症の予防・治療に役立つ可能性について着目。

高齢化が進んだ石川県内の町で、飲んだ緑茶の量と認知症の発症リスクとの関連を調べている。

風邪の季節の「お茶うがい」を唱道した島村忠勝・昭和大学医学部名誉教授(細菌学)は、食中毒の季節には「食後のお茶」をお忘れなく─と強くすすめている。

緑茶1㍉㍑でO157を1万個死滅させる。だからたくさん飲む必要はない。湯のみ茶碗1杯(約100㍉㍑)で十分だそうだ。

ところで、お茶といえば、昔は「鉄剤服用の30分~1時間は緑茶の飲用をさける」が常識とされていた。

緑茶の渋み成分のカテキン(タンニン)が鉄と結合してタンニン酸となり、腸粘膜からの鉄の吸収を妨げるというのがその理由だった。

だが、この「常識」はウソだとわかった。

中程度の鉄欠乏性貧血の人を二つのグループに分けて、鉄剤服用30分前後にお茶を飲んだグループと、飲まないグループとで、貧血の回復の程度を調べたが、明らかな差異はなかった。

鉄欠乏性貧血で体内の鉄量が減少した状態だったら、茶を飲もうが飲むまいが(カテキンがあってもなくても)、腸管からは効率よく鉄が吸収される。鉄剤の貧血改善効果は同じなので茶を禁じるのは無意味─ということに今はなっている。

貧血は赤血球の中の血色素(ヘモグロビン)が減少して起こる。

血色素は、鉄とたんぱく質からできている。

貧血の約7割はその鉄が不足した「鉄欠乏性貧血」だ。

小学3年生の女児がしょっちゅう頭が痛い、痛いと言う。髄膜炎ではないかと心配したが、血液検査で貧血とわかった。鉄剤を注射したら頭痛もケロリと治った。

別の子は一時期、むやみに氷を食べたがるようになった。これも鉄欠乏性貧血による異食症だった。鉄剤を飲ませたら氷を食べるのが止まった。

小児科の先生から聞いた症例だ。

小学生のころは体の成長が速く、バランスのよい食事をしていても鉄分が不足することがあるという。

貧血になると体のあちこちで酸素不足が起こる。顔色が青白くなり、息切れ、動悸、めまい、疲労けん怠感、頭痛、耳鳴り、食欲不振、微熱……といった症状が出てくる。

注意力や集中力の低下も起こる。急に成績が下がった学童の原因が貧血だったという話もある。

貧血かどうかは2cc程度の採血検査でわかる。

●ひとこと追加。

お茶をたくさん飲んではいけないといわれるのは、ぜんそくなどの治療で気管支拡張剤を用いているときだ。

薬の主成分のテオフィリンとお茶のカフェインは、作用が似ているため、薬が効きすぎて副作用が出やすくなるからだ。

 子どものメタボはママの責任 [ひとこと養生記]

 カエルとメタボ

 ニュースのない日は動物園に行ってみる─というのが、昔の新聞記者心得の一つだった。

サル山のボス争いとかカバの大あくびとか、心和む閑種(ひまだね)を探す早道だったからだ。

また、スポーツ、芸能、流行、健康子どもに関する話題は見逃さず記事にすべし─ともいわれた。

大方の読者共通の関心事だからで、これはいまでもそうだろう。

であるなら、子どもの健康は、さしずめ関心の2乗だろう。

「こどもはわれわれの未来であるとともに、われわれの過去でもある」と民俗学者、柳田国男は言っているが(『こどもと言葉』)、子ども(の現在)がわれわれの過去であるのなら、われわれ(の現在)は子どもの将来にほかならない。

「親を見りゃボクの人生知れたもの」なるメイ吟もある。

これを健康面に当てはめると、親が太っていると、子も太る

カエルの子はカエル、メタボの子はメタボというわけで、その理由は、体質の遺伝と同一の食事環境だ。

子どもの肥満はそのまま大人の肥満につながりやすく、大人になってからの肥満よりも治しにくい。

 ママの責任

肥満児の背後には、たいてい肥満した親が控えている。

多くは母親だ。

理由は体質の遺伝と同一の食事環境。太りやすい体質を共有していて、いつも同じ物を同じように食べていれば、同じように太るのは当然の成り行きだろう。

子どもの肥満は、そのまま大人の肥満に移行しやすい。

脂肪細胞は、思春期まではその数が増え、それ以後は細胞自身が大きくなるといわれる。

つまり子どものときからの(脂肪細胞がいっぱい増えた状態の)肥満は、大人になってからの肥満とは違い、なかなか治しにくい。

成人後の肥満は、もっぱら当人の責任だが、子どもの肥満は、離乳食の食べさせ過ぎが基盤となって完成する。

責任は母親が負わなければならない。

離乳食については、もう一つ問題がある。

母親が自分の味覚に合わせて味つけをするため、しぜん塩分が多くなることだ。
で、日本人は赤ん坊のころから塩味好みになり、成人後の高血圧発症の原因になる。

高血圧予防は離乳食から─と説き続けた人が、循環器内科の大家、故五島雄一郎・東海大学名誉教授だった。

小児事故対策 [ひとこと養生記]

幼児期から小学生にかけての子どもの死亡原因の第1位は「不慮の事故」だ。

子どもの事故の内容は、年齢によって特徴がある。

多くは親の注意や環境づくりで防ぐことができる。

厚生労働省・健やか親子21推進協議会が作成した「子どもの事故防止対策」チェック表。


●1歳6カ月ごろの子への対策。

1 子どもを1人で家や車に残さない。

2 自動車に乗るときは、チャイルドシートを後部座席に取り付けて乗せる。

3 浴槽に水をためたままにしない。

4 医薬品、化粧品洗剤などは子どもの手の届かないところに置く。

5 たばこ灰皿はいつも手の届かないところに置く。

6 ピーナッツやあめ玉などは手の届かないところに置く。

7 暖房器具(ストーブ・こたつなど)の熱が直接触れないようにする。

8 ポットや炊飯器は子どもの手の届かないところにおく。

9 ベビー用品やおもちゃを購入するときはデザインよりも安全性を重視する。

10 階段には転落防止用の柵(さく)を取り付ける。


 ●3歳ごろの子への対策。

1~6は1歳6カ月ごろの子への対策と同じ。

7 ストーブやヒーターなどは、安全柵(さく)で囲い、子どもが直接触れないようにする。

8 おはしや歯ブラシなどをくわえたまま走らせない。

9 すべり台やブランコの安全な乗り方を教える。

10 ベランダや窓のそばに踏み台になるものを置かない。


 ●1~4歳に起こりやすい事故と予防ポイント。

1 転落・転倒(ベランダや階段からの転落)=予防はチェック表の10─。

2 やけど(炊飯器や加湿器の蒸気にさわる。アイロン、ストーブにさわる。ポット、鍋をひっくり返す)=そうしたものに子どもが触れないようにする。

3 おぼれる(浴槽に落ちる、水遊び)=わずかな水でも残し湯はしない。浴室に外かぎをつける。水遊びの時は目を離さない。

4 誤飲・中毒・窒息(医薬品、化粧品、コイン、豆など)=危険なものは子どもの目にふれない、手の届かない場所に片づける。ピーナッツなど乾いた豆類を食べさせない。

5 交通事故(道路への飛び出し)=手をつないで歩く。

水虫出タゾ! [ひとこと養生記]

水虫の正体

水虫の季節が始まった。

5月の第3週に入ると、皮膚科を訪ねる水虫の患者が増え始める。

そして8月前半まで上昇を続け、お盆を過ぎると急に減るそうだ。

足の病気の実態を調べる皮膚科医の集まり─JFW(Japan Foot Week)研究会が行った2000年と06年の調査で、足の疾患で最も多かったのは、真菌感染症(水虫とつめの水虫)で0年は40%、06年は49%だった。

真菌とは病気の原因になるカビのこと。

水虫の正体─白癬菌(はくせんきん)もその仲間だ。

白癬菌がつくる皮膚病には足白癬(水虫)のほか爪白癬(つめの水虫)、手白癬(手の水虫)、頭部白癬(シラクモ)、体部白癬(ゼニタムシ)、股部白癬(インキンタムシ)とある。最も多いのはむろん足白癬で64%、次が爪白癬21%、体部白癬7%、股部白癬5%と続く。白癬菌問題は、足の水虫とつめの水虫にしぼられるといっていい。

昔は「水虫の薬を発見したらノーベル賞」と言われた。

今の水虫薬はまさにノーベル賞もの。

塗れば(または飲めば)必ず治る。


水虫の薬

今の水虫の薬は、塗れば必ず治る。

ただし、1日1回、4週間きちんと塗り続けないと完治しない。

だが2週間ぐらい塗ると、かゆみなどの自覚症状がなくなるので、薬をつけるのをやめてしまう。

治ったつもりでいると、翌年の夏に再発する。

また、水虫ではない湿疹(しっしん)などを水虫と思い込み、薬局で市販薬を求めて塗る人がいる。

治るはずがないし、薬にかぶれてかえってひどくなることもある。

市販薬にも医療用の薬と同じ成分が転用されている。

薬局で求めた水虫薬をつけて症状が軽快しなかったら「ニセ水虫」と断定していいそうだ。

足の皮がむけたり、かゆかったり、小さな水ぶくれができたりして、水虫かな? と思ったら薬局に行く前に皮膚科を受診しよう。

健保が効く分、薬も安い。

つめの水虫も間違えられやすい。

つめの変形を起こす病気は扁平苔癬(へんぺいたいせん)とか尋常性乾癬などけっこう多い。

皮膚科医でないと正しい診断はできない。

これには「飲む水虫の薬」が非常によく効く。


 水虫の巣

「うつりそう 風呂の足ふき 飛び越える」という水虫川柳がある。

温泉、サウナ、銭湯などの足ふきマットには100%、白せん菌(水虫の原因菌)がいる、と渡辺晋一・帝京大教授。

「私たちは水虫菌に囲まれて生活しているといっても過言ではない。きちんと治療しても再感染しやすい」。

結果、日本人に5人に1人は水虫持ちだ。

だが水虫菌に囲まれて暮らしながら、5人に4人は水虫ではない。なぜか?

「一つの理由は、白せん菌の感染力が強くないからです。

銭湯などのマットで足に菌がくっついても、サンダルやげたばきで帰ってくるうち、足が乾燥して菌が落ちてしまう。

温泉場でもそうです。

宴会などで素足でいると、菌はあらかたはがれ落ちる。

しかし温泉場は朝が危ない。

朝、温泉に入って、菌をくっつけた足を十分乾かさずに靴下をはき、日中ずっと靴をはいていると水虫になる。

もっと危ないのはゴルフ場。

シャワーを使ったあとすぐバスや車に乗ると、足を乾かす間がない。

ゴルフ場から帰宅したら、足だけでも洗い流すことです」。

    
 

やめよう! 早朝ジョギング・食後の運動。 [「健康常識ウソ・ホント」再録]

健康常識ウソ・ホント(45) 

やめよう! 早朝ジョギング・食後の運動。


自分の持てる力の半分でやる運動「ニコニコペース」の名付け親、荒川規矩男・福岡大学名誉教授は、高血圧の専門医である。

高血圧の運動療法として、最大運動強度(その人が出せる最大限の力)の50%程度でやる運動のすぐれた効果を、多くの患者の症例で証明した。

なぜ、50%程度なのか?

運動量が50%を超えると、血液中の疲労物質(と、当時は考えられていた)乳酸がふえ始めることが、臨床実験でわかったからだ。

しかし、力を50%以下に抑えた有酸素運動であれば、そんなことはない。

乳酸がたまってこないので、らくらく続けられる。

「荒川方式(アラカワメソッド)」と呼ばれるこの高血圧の運動療法は、WHO(世界保健機構)も強く推奨している。

「運動強度さえ50%程度なら、運動の種類は問わない。水泳、テニス、ゴルフ、なんでもいいのですが、私がいちばんお勧めしたいのは歩くことです。

ちょっと早足で、息が切れない程度で歩くと、だいたい50%の運動になります」

1時間でも2時間でもちっともつらくない。

ニコニコしながらやれるから、ニコニコペースというわけだが、何時間もやる必要はない。1日30分でじゅうぶんだという。

「雨の日も風の日も歩けとは言いません。1日や2日、休んでもどうってことはない。

そこが薬と違うところです。薬を1日のみ忘れると具合のわるいこともありますが、運動にはそんな心配はいりません」

と、荒川先生は請け合ってくれた。

さて、そこで問題になるのが、いつやるか、である。

「食後に軽い運動を─」とはよく言われることだが、あまり感心しない。避けるべきだ。

早朝も、夜間も、よくない。

食後、胃にどっさり食物が入っているうちの運動は、消化を妨げる。

だから胃や肝臓に病気をもつ人は、食後の安静を医師にきびしく指示される。

そうではない元気な人も、食後はゆっくりお茶など楽しみながら歓談するのがよろしい。

この件について、貝原益軒『養生訓』が、

「わかき人は食後に弓を射、鑓(やり)・太刀を習ひ、身を動かし、歩行すべし。労動を過(すご)すべからず。

老人も其気体(そのきたい=その気や体)に応じ、少労動すべし。

案(おしまずき=脇息)によりかかり、一処に久しく安坐すべからず(長く楽な姿勢でいてはいけない)。気血を滞らしめ、飲食消化しがたし」(巻三)

―と勧めているのは暴論にひとしいと思う。「労動を過すべからず(体を動かし過ぎてはいけない)」の一行は別として。

もしかしたら、昔の日本人の胃弱の一因はここにあるのではないか。

『養生訓』といえば、必読順守の健康法の教典だったのだから─。

早朝の運動がよくないのは、体温が低く、エネルギーも水分も不足しているからだ。

そんなコンディションでジョギングなどやるのは命知らずの暴挙といっていい。

夜間の運動は交感神経が活発になって、寝つきが悪くなる。

最適な時間帯は、食後1時間~2時間後。消化も進んでいて、血糖値も安定している。

夕方から夜にかけて、できれば夕食前に、少しの食べ物と水分を摂って歩き、そのあと夕食を食べるのがベスト。

言うまでもないことだが、酒を飲んで走るなど、もってのほか。

風邪気味で熱がある、体がだるいなどの症状があるとき、睡眠不足が続いているときも、運動は控えたほうがよい。

前回述べたように過激な運動は免疫力を低下させるが、適度な運動は逆に免疫力を上げ、病気を防いで寿命を延ばしてくれる。

運動をしている人は、していない人に比べて、細胞の老化が10年分ほど遅い―という細胞レベルでの「抗加齢効果」もわかっている。

さあ、爽やか五月! ニコニコペースの運動を始めよう! 続けよう!

「スポーツは体にわるい」はホントか? [「健康常識ウソ・ホント」再録]

健康常識ウソ・ホント(44) 

「スポーツは体にわるい」はホントか?

風薫る五月。

絶好の運動日和がつづいている。

にわかスポーツマンがどっとふえる季節だが、はまり過ぎちゃいけませんよ。

過激な運動のあとには免疫力が低下し、感染症にかかりやすいことがわかっているからだ。

アスリートが意外に風邪を引きやすかったり、だいじな試合の前に体調を崩したりしがちなのは、よく聞く話である。

なぜか? 

運動免疫学の専門家の説明は、こうだ。

激しい運動のあと、血液中の物質を測ると、「IgG値」と「NK細胞」の活性度が低下し、「インターロイキン6」がふえている。

IgGは、体内に侵入した抗原(病原体やウイルス・細菌など)に対する抗体として働く5種類の免疫グロブリン(Ig)のうちいちばん多いグロブリン(単純たんぱく質)だ。

NK(ナチュラルキラー)細胞は、白血球の一種のリンパ球の15~20%を占める細胞。

体のおまわりさんのようなもので、体内をいつもくまなくパトロールして、がん細胞の芽やさまざまなウイルスに感染した細胞をやっつけている。

NK活性が低下すると、感染症やがんにかかりやすくなる。

インターロイキン6(IL-6)は、免疫にかかわるたんぱく質=サイトカインの一種。

免疫を抑制し、炎症を引き起こすので炎症性サイトカインと呼ばれる。

通常の状態ではIL-6はほとんど検出されないが、フルマラソンのあとの血液中では約100倍もふえることがあり、関節リウマチ患者の関節液中には著しく増加する。

IL-6の激増は、生体が酷使されていることの証拠といえる。

過激な運動のあとで生じるこうした血中物質の変動によって、免疫のはたらきが数時間から数日、一過性に低下した状態を「オープンウィンドウ」と呼ぶ。

感染症などに「窓を開けた」状態というわけだ。

実際、マラソンのあと参加選手の多くに風邪の症状がみられたり、感染症にかかるリスクが高まったりすることは、内外の研究報告でも確かめられている。

そうした過激な運動を長く続けていると、当然、寿命にも影響する。
こんな調査研究がある。

体育学部をもつある国立大学の卒業生の110年間の死亡者のなかから、生年と没年の明白な3113人を抽出し(戦死・戦病死、事故死などを除き)、体育系、文科系、理科系に分けてそれぞれの平均寿命を算出した。

結果、体育系=60.6歳、文科系=66.8歳、理科系=66.1歳だった。

「直接の死因についての資料はなかったが、体に重い負荷のかかる激しい運動を、長期にわたって続けた体育系卒業者が、他のグループに比べて短命なのは明らか」

 と、調査を行った研究者は話している。

なぜ、激しい運動が寿命を縮めるのか。

「ひとことでいってしまえば、運動によって酸素の消費量が増え、それにつれて体内に『活性酸素』と呼ばれる猛烈な毒が発生し、生体を傷つけることと、運動がストレスになることである」

基礎運動科学が専門の加藤邦彦・理愽(東京大学理学部)は、著書『スポーツは体にわるい』(カッパサイエンス=光文社)にそう記している。

同書には、運動量の増大によって生じる活性酸素が、老化・短命を促進すること、スポーツがストレスであること―が、多くの研究実験をもとに詳しく明快に説かれている。

過激な運動が健康長寿の妨害因子であることに異論を差しはさむ余地はないようだ。

反面、適度な運動が、免疫力を高め、感染症のリスクを減弱し、生活習慣病を防ぎ、健康寿命を延ばす大きな要因であることも事実である。

では、「適度な運動」とは?

自分が出せる最大限の力(最大運動強度)の半分ぐらいの「ニコニコペース」が、よい。

それだったら血液中にエネルギー源の糖質の代謝産物の乳酸がふえてこないので、らくらく続けられる。

楽しく体を動かすと、エンドルフィンという快感ホルモンが脳内から分泌され、NK細胞の活性が上がる。

健康のための運動は無理せず楽しくやるに限る。

なお、「ニコニコペース」の運動は「荒川方式(アラカワメソッド)」と呼ばれ、WHO(世界保健機構)が推奨している。

これについては次回に─。

「袋の味」症候群 [ひとこと養生記]

「袋の味」症候群

東京都予防医学協会が行っている「貧血検診」によると、女子中・高生の約15%が貧血の一歩手前の「潜在性鉄欠乏」だという。

「潜在性鉄欠乏をほっておけば重症化する。

体が急成長し、生理が始まる思春期は、本人が気づかないうちに貧血が進行しているケースがある。

極端なダイエットや偏食も一因と考えられる」

と、調査に当たった小児科医は指摘している。

男子生徒には貧血はまれだったが、脂質異常症状態がかなりみられた。

コンビニで若者たちの食品の買い方を観察した検診医は、

「カップめんと菓子パン、清涼飲料水と菓子パン、おにぎりとアイスクリームといった具合に、栄養素の必要量やバランスは全く頭にないように見えた」となげいている。

学生や若いサラリーマンなど一人暮らしの「個食」でまず問題になるのが、ファストフードとレトルト食品─まな板を使わない、おふくろの味ならぬ「袋の味」による栄養障害だ。

ビタミンB1やC、カルシウムが不足し、だるい、眠い、根気がなくなる。

加工食品からは、製造過程でカルシウム、マグネシウム、カリウム、鉄、亜鉛などのミネラルが失われやすい。

体内にこうしたミネラルが不足すると、貧血、骨粗しょう症、味覚障害などさまざまな健康被害が生じる。

カルシウムが不足すると、イライラしたり、怒りっぽくなったり、神経質になったり、集中力が低下する。

また、インスタント食品などの添加物のリン酸やタール系色素(スナック菓子にも多く含まれている)は脳にも悪影響を及ぼし、子どもがキレる原因になるといわれる。

「袋の味」は体だけではなく、心も壊すようなのだ。

もう一つ、キレる子どもをつくる要因として、学校現場の教師や心理学者、栄養学者などの専門家が指摘しているのは、「朝食抜き」と子どもが独りぼっちで食べる「孤食」だ。「朝食も作ってくれない親は、自分に愛情がないのではないか」とか「家がつまらない」といった感情のアンバランスを引き起こす。

ある少年院の法務教官は、朝食抜きと孤食が、少年非行の大きな一因だと言っている。

菜食vs肉食、長命はどちら? [「健康常識ウソ・ホント」再録]

健康常識ウソ・ホント(43) 

菜食vs肉食、長命はどちら?


「元気に長生きするのにいちばんだいじなことは?」 と聞かれたら、「正しい食生活です」。

だれでもそう答えるだろう。

そこで古来さまざまな食事法が説かれてきた。

なかで、最もえんえんと信奉されてきた一つが「菜食長命」説で、これを裏返すと「肉食短命」になるので、しばしば両者の激突がみられた。

最近も、『長生きしたけりゃ肉は食べるな』と唱導する本と、『肉を食べる人は長生きする』と推奨する本が、ほとんど同時に出版されて話題になった。

「肉食べるな」の若杉友子さんは、桜沢如一氏などが提唱した「マクロビオティック(東洋の陰陽説による長寿法)」の流れを汲む食養生の指導者。

「日本人に肉は合わない」と断言している。

農耕民族の日本人は穀物菜食をしてきたため腸が長く、肉のカスが腸内に長く残り、腐敗し、さまざまな毒素が発生、血液が汚され、細胞のガン化を招いてしまう、と。

「肉、食べろ」の柴田博さんは、東京都老人総合研究所副所長、桜美林大学大学院老年学教授を経て、現在は日本応用老年学会理事長。

「肉こそ長寿の秘訣」と強調する。

年をとっても体は新陳代謝をするので、体内では合成できない必須アミノ酸を多く含む動物性たんぱく質が欠かせない。

年をとればたんぱく質の合成能力そのものも落ちるので、肉をきちんと食べる必要がある。

「80代でなお元気盛んな人は、70代のときよりも1週間に肉を食べる回数が、むしろ多くなっています」と。

肉大好き人間としてはつい肉食派の肩を持ちたくなる。

えこ贔屓のついでに、もう少し引用する。

東京都老人総合研究所は、東京都小金井市などで、多くの老人たちを十数年間、追跡調査した。

それによると、ある種の信念によって、あるいは医師の指示によって、肉や魚をほとんどまったく食べないような食生活をしていた人たちが、最も早く亡くなったり、あるいは体力が弱って働けなくなったりしている。

肉も魚もよく食べる、牛乳もよく飲む―という人たちが、いちばん元気で長生きしているという。

昔の田舎のじいさん、ばあさんは、たいてい腰が曲がっていた。顔はしわだらけだった。

だがいまはめったにそんな人は見かけない。いまの日本人は寿命が延びただけではなく、若々しい。

これは労働形態が変わり、昔のように腰をかがめて長時間の農作業をするといったことがなくなったからでもあるだろう。

しかし、最大の原因は食生活が豊かになり、栄養がよくなったからだ。

明治以来、日本人の食事は、1日約2000㌔㌍というエネルギー摂取量は(戦中戦後の食糧難時代を除いて)それほど変わってない。変わったのはそのエネルギー構成の内容だ。

明治の末期、日本人は1日平均で動物性たんぱく質を3グラム(12㌔㌍)、脂肪を13グラム(117㌔㌍)しかとってなかった。両方合わせて129㌔㌍、総エネルギー摂取量の1割にも達しない。

あとの大半のエネルギーは、大豆などの植物性たんぱく質がいくらかあったにせよ、米、麦、イモ類などの炭水化物(でんぷんや糖質)で補っていたわけだ。

現在の日本人の動物性たんぱく質の摂取量は一日約45グラム(明治時代の15倍)、脂肪は58グラム(同4・5倍)。

早くいえば肉や魚を15倍多く食べるようになった。これが長命と若さの最大原因だ。

体格がよくなり、寿命が延び、腰が曲がらず、しわくちゃにもならなくなった。

東京都健康長寿医療センター長の井藤英喜先生も、こう話している。

「たんぱく質のとり過ぎはよくないとされていますが、高齢者へのたんぱく質制限は、長寿には結びつかないことがわかってきました。高齢者では、筋肉の減少が大きな問題になります。たんぱく質は筋肉減少の防止に大いに役立ちますから、十分に摂取することが大切です」

元気で若々しくありたいと思うのなら、肉も、魚も、卵も、そしてもちろん野菜も、バランスよく食べるべきだ。

ただし、脂肪のとりすぎは動脈硬化のもと。それだけはよくよく注意が必要だ。

健康総合ニュースサイト「One's Life」2015年4月25日掲載の「コラム」より再録。
 同サイトは、美容・ヘルスケア・妊娠・介護福祉に関するニュースや体によい食事のレシピなど、健康・医療に関する情報を日々発信している。
拙稿の過去の掲載分は同サイトの「特集」→「コラム」でお読みいただけます。

「ぬ・か・づけ」注意 [ひとこと養生記]

「ぬ・か・づけ」注意

高齢者の救急搬送の8割は転倒によるケガ。

転倒場所で最も多いのは家の中です。

日本転倒予防学会は、「ぬ・か・づけ」に注意を─と呼びかけています。

「ぬ」はぬれた所。

「か」は階段と段差。

「づけ」は片付けていない所です。

ぬれていれば滑りやすい。

階段は、下りるときに足を踏みはずし、上るさいにつま先が十分上がらずつまづく。

床の上の物を片づけるだけでも予防になります。

花かぶれ・ハゼまけ [健康雑談]

花かぶれ・ハゼまけ

うるわしの5月。

花屋の店頭にいろいろな花の鉢植えが並べられてある。

その美しいかれんな花たちが、皮膚炎の原因になることがある。

よく知られている一つは、プリムラ・オブコニカ(西洋桜草)。

葉や茎から分泌されるプリミンという刺激性の物質が皮膚につくと、人によってはひどくかぶれる。

チューリップにもかぶれ成分があり、オランダでは栽培者の職業病になっているそうだ。

花屋の人が、フリージアにかぶれて仕方がないので扱うのをやめたという話もある。

アロエ、キク、ライラックなどもかぶれを起こしやすい成分を含んでいる。

ウルシやハゼなど揮発成分のあるものだと、そばを通っただけでもかぶれる人がいる。

子どものころ、ハゼにかぶれたことがある。

祖母が教えてくれた。

「ウルシにゃ負けても、うぬにゃ負けん!」

こんど、ハゼの木のそばを通るときは、そう言って通ればよい、と。

以来、“ハゼまけ”はしなくなった。

ハゼ、ウルシかぶれに暗示の力が強く作用することは、池見酉次郎・九大名誉教授(心身医学)が実験的に証明している。

ハゼやウルシにひどくかぶれるという高校生13人に目かくしをして、右手(または左手)には、かねて恐れているハゼ(またはウルシ)の葉を、

「これは栗の葉だ」と暗示してすりつけた。

もう一方の手には、無害な栗の葉を、

「これはハゼ(またはウルシ)だ」といってすりつけた。

結果、そのなかの9人が、栗をハゼ(またはウルシ)だといってすりつけた方にだけ皮膚炎が現われ、ハゼ(またはウルシ)を栗だといつわってつけた方にはなんの変化もみられなかった。

残りの4人のなかの2人は両腕ともかぶれたという。(池見酉次郎著『心療内科』=中公新書による)

話を戻すと、花かぶれは、触れさえしなければ大丈夫だ。

だから最上の予防法は「触らない」こと。

手入れをするときは手袋をはめ、終わったら手や顔を洗おう。

かぶれは、医学用語では接触性皮膚炎。

表皮に対する多種多様な物質の刺激による非アレルギー性、あるいはアレルギー性の変化で起こる。

非アレルギー性の代表がおむつかぶれ。

化粧品かぶれや花かぶれは、アレルギー性だ。

治療はむろん皮膚科──。

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